奇門遁甲入門

奇門遁甲の基本的な解説になります。

[始めに] [奇門遁甲について] [運の良し悪し] [暦の考え方] [方位の考え方]
[遁甲盤の構成要素] [三奇六儀] [八門] [九星] [八神] [九宮] [解釈の仕方] [局数と作盤法]
[立向盤座山盤] [年月日時盤] [年月盤転居] [日盤開運旅行] [時盤開運旅行] [立向座山各盤]
[注意事項] [遁甲入門総括]

◆ 奇門遁甲の始めに

奇門遁甲(遁甲式)とは、中国古来より伝わる三式(太乙式 遁甲式 六壬式)の一つであり、兵陰陽と呼ばれる軍事で使用される占術の一つになります。 戦略戦術面で方位の吉凶を推し量る占術であり、それを開運術に応用しているのが、ここでの奇門遁甲になります。


立向盤では、自分から良い方位に向かうことで、目的の運を手に入れることができます。 座山盤では、良い気が満ちる方位から気を取り入れることで、目的の運を手に入れることができます。 目的に合わせた器を用意し、目的に合わせた行動をすることで結果を効率的に得ることができます。 ※ただし、法律や道徳に反する目的に関しては効果を得ることはできません。


奇門遁甲の始めに


奇門遁甲の始めに


◆ 奇門遁甲について

奇門遁甲には実に様々な流派が存在し、流派により遁甲盤の作盤法や使い方が大きく変わってきます。 主な流派では、中国奇門、周氏奇門、劉氏奇門、韓国奇門、透派奇門などがあります。 それらから派生した多種多様な流派があり、遁甲家一人につき一流派と考えられる程、それぞれの考え方や活用法などが異なります。


奇門遁甲は命術の祖とも呼ばれ、命理として使用できる他、卜術として物事の吉凶や将来を占うこともできます。 また、家相や墓相、世相などの吉凶を判断することもできる多種多様な使い方があります。 流派により、奇門遁甲を命術として使用することや、物事の吉凶を判断する卜術として使用することもあります。 方位の吉凶を判断する卜術として使用することもありますし、四柱推命と合わせて使用することもあります。


ここでの奇門遁甲では、立向盤と座山盤という概念を背景にして奇門遁甲を考えていきます。 立向盤と座山盤という概念は透派独特の概念になります。 立向盤とは、基点から各方位に巡る気の吉凶を判断し、その方位に行動を起こすことで象意を得るとする「動」の盤になります。 座山盤とは、各方位から基点に巡る気の吉凶を判断し、その基点に居ながら象意を得るとする「静」の盤とされます。


ここでは、分かりやすく「立向盤」「座山盤」と分けていますが、立向盤は透派のものではなく、中国奇門で採用されている活盤式(排宮式)の遁甲盤を使用します。 座山盤は透派独自の概念もので、透派の飛宮式遁甲盤を使用します。 この「立向盤」「座山盤」の奇門遁甲に四柱推命の要素を考慮して活用していきます。


奇門遁甲について


奇門遁甲について


概念解説
主な流派中国奇門 周氏奇門 劉氏奇門 韓国奇門 透派奇門
立向座山立向盤、座山盤というのは透派独自の概念
立向盤透派の立向盤ではなく、中国奇門の遁甲盤を採用
座山盤透派独自の概念であり、透派の飛宮式遁甲盤を採用
活盤式排宮式とも呼ばれ、要素を全体を回転させる方式
飛宮式洛書(九数図)の順に要素を配置する方式

◆ 運の良し悪しとは

運の良し悪しというのは、自分自身の潜在能力を最大限に発揮できる良い環境(人・物・情報との出会い)が構築できるか否かになります。


良い人・物・情報との出会いが多くなれば、「運が良い」と判断し、良い人・物・情報との出会いがなければ、「運が悪い」となります。 自分自身の努力や徳を積み重ね運を良くしていくと、良い運の階層で先天的な能力を最大限に発揮して活躍することができます。 自分自身の先天的な能力を最大限に発揮し、実りの多い人生となり、幸せと成功をその手に収めることができます。


また、「運」とは幸福を受け取る受け皿であり、努力の報われやすさ、評価のされやすさでもあります。 この「運」を得ることで、幸福を得られる器が大きくなります。 先天的に持つ受け皿が大きければ器はより大きなものとなり、先天的に持つ受け皿が小さければ器を大きくすることができます。 奇門遁甲による方位を活用することで、この「運」を一時的に手に入れることができます。 後は幸福を受け取る「きっかけ(努力)」とその「機会(挑戦)」を作ることで好機が訪れることになります。


・恋愛での幸福を受け取る器があっても、異性と接しなければ満たされません。
・妊娠での幸福を受け取る器があっても、子作りしないことには満たされません。
・金銭での幸福を受け取る器があっても、欲を抱くばかりでは満たされません。
・健康での幸福を受け取る器があっても、不節制していては満たされません。
・勝負での幸福を受け取る器があっても、勝負しないことには満たされません。

目的に合わせた器を用意し、目的に合わせた行動をすることで、その結果を受け取ることができます。 努力と挑戦なくして成功はありません。 しかし、その努力と挑戦をより効率的且つ効果的にするのが開運術となります。


運の良し悪しとは


運の良し悪しとは


◆ 暦の考え方

奇門遁甲における暦の考え方として基本となるのは、「年」は立春(2月4日前後)から翌年の立春前日(節分)までを1年とします。 「月」は、節月を基準とし、その月の最初の24節気の日時から翌月の節入り日時までを1カ月としています。 「日」は、午前0時0分(正子)を基準とし、翌0時0分(正子)までを1日として考えます。 「時」は1刻(2時間)を基準とし、午前1時(丑の刻)から2時間ごとに1刻としています。 また、全て現在所在している土地の「自然時」を考慮します。 自然時とは、東経135度(兵庫県明石市)から1度離れるごとに4分加減し、東京23区では「標準時+約19分」として考えます。 奇門遁甲や風水の基本は、「際は避ける」になるため、「年:立春前後」「月:節入り前後」「日:0時前後」「時:奇数時前後」は、慎重に判断してください。


奇門遁甲における暦の考え方


奇門遁甲における暦の考え方


年月日解説
立春日時(2月4日前後)から翌年の立春日時(節分)まで
節入り日時(24節気)から翌月の節入り日時(24節気)まで
0時0分(正子)から翌0時0分まで (正子(後)の刻から正子(前)の刻まで)
午前1時の丑の刻から2時間1刻として1日12刻 子の刻は前後日に分かれる
自然時東経135度(兵庫県明石市)から1度離れるごとに4分加減(23区+約19分)

◆ 方位の考え方

奇門遁甲では方位を考える際、360度を8等分(各45度)として考えます。 方位磁石が示す「方位角0度」が「北(磁北)」となり、方位の基準となります。 8等分された一つの方位45度の範囲(各方位の中心から左右に22.5度)になります。 奇門遁甲では方位の境目は結果もあやふやになるため、できるだけ使用するのは避けます。 方位に関しては、球面三角法を考慮し、正距方位図法(正方位線)と磁北(偏角を考慮)を基準とします。


方位の起点となるのは、「生活の拠点となっている場所(太陰)」が基本の基点となります。 日盤や時盤では、「行動を起こそうとした場所」を起点として応用することもできます。 年盤を使った転居や不動産の購入では、「これまで生活をしていた住居」が基点となります。 月盤を使った転居や建築でも、「これまで生活をしていた住居」が基点となります。 日盤を使った旅行や改築では「太陰や、朝目が覚めた場所、その日を迎えた場所」が基点となります。 時盤を使った旅行や改築、出張や散歩では、「太陰や、行動を起こそうとした場所」が基点となります。


奇門遁甲における方位の考え方


奇門遁甲における方位の考え方


基準内容
方位磁北 偏角を考慮
距離球面三角法
図法正距方位図法 正方位線

基準基点
基本太陰 : 生活している住居
年盤生活している住居や土地
月盤生活している住居や空間
日盤朝目が覚めた場所 その日を迎えた場所
時盤行動を起こそうとした場所 目的地への出発点

方位方位角方位角範囲
0度337.5 - 22.5度
北東 45度 22.5 - 67.5度
90度 67.5 - 112.5度
南東135度112.5 - 157.5度
180度157.5 - 202.5度
南西225度202.5 - 247.5度
西 270度247.5 - 292.5度
北西315度292.5 - 337.5度

※参考 奇門遁甲と九星気学の方位の背景

奇門遁甲洛書の概念を元に方位を考慮するため各45度8方位となる
九星気学十二支の概念を元に方位を考慮するため30度60度の8方位となる

◆ 遁甲盤の構成要素

奇門遁甲は、六十干支からなる干支歴や二十四節気から算出される、奇門遁甲の「局数」を基にして「遁甲盤」を作成して吉凶を判断します。 この遁甲盤を構成する主な要素は、「地干」「天干」「八門」「九星」「八神」「九宮」の6つの要素になります。 奇門遁甲は、「八門」を重視することから、別名「八門遁甲(はちもんとんこう)」とも呼ばれます。


流派や用途で重視する要素が変わりますが、「八門」はどの流派でも共通して重視しています。 天干や地干を重視する流派や、九星や八神を重視する流派、それぞれの組み合わせの配分で判断する方法などがあり、また混在しています。 奇門遁甲の局数を元にして、これからの要素を配置していくことで、遁甲盤が作成されます。 構成要素の組み合わせにより、奇門遁甲独特の「格局」を構成することもあります。 ここでは奇門遁甲入門ということで、複雑な奇門遁甲の局数算出法や作盤法などは省略しています。


奇門遁甲盤の構成要素


奇門遁甲盤の構成要素


要素解説
地干甲尊 乙奇 丙奇 丁奇 戊儀 己儀 庚儀 辛儀 壬儀 癸儀
天干甲尊 乙奇 丙奇 丁奇 戊儀 己儀 庚儀 辛儀 壬儀 癸儀
八門休門 生門 傷門 杜門 景門 死門 驚門 開門
九星天蓬星 天芮星 天冲星 天輔星 天禽星 天心星 天柱星 天任星 天英星
八神直符 騰蛇 太陰 六合 勾陳(白虎) 朱雀(玄武) 九地 九天
九宮一白 二黒 三碧 四緑 五黄 六白 七赤 八白 九紫

遁甲盤の見方


遁甲盤の見方


天地星門宮神
天干九星九宮
地干八門八神
格局
点数九数


◆ 甲尊と三奇六儀

奇門遁甲盤の構成要素となる地盤干と天盤干は、十干(甲乙丙丁戊己庚辛壬癸)から甲を除いた九干(三奇と六儀)で構成されています。 十干の「甲(甲尊)」は至高の存在であり、天敵である「庚」から剋されることを恐れて遁れています。 この概念が「遁甲」の語源とされています。 三奇は「乙奇」「丙奇」「丁奇」となり、六儀は「戊儀」「己儀」「庚儀」「辛儀」「壬儀」「癸儀」となり通常はこの九干で遁甲盤の地盤干と天盤干を構成します。 甲尊は時節を代表する「旬首」にあたる六儀に遁れています。 三奇六儀の吉凶に関しては、簡易的に三奇「乙奇 丙奇 丁奇」が吉、六儀「戊儀 己儀」が平、「辛儀 壬儀 癸儀」が凶、甲尊を剋する「庚儀」が大凶となります。


甲尊と三奇六儀


甲尊と三奇六儀


天地干吉凶象意
甲尊評価や功績を求める際に効力を発揮する。昇進や重要な役割への抜擢、可能性の上昇を求める際に活用する。
乙奇和合や安定を求める際に効力を発揮する。恋愛や結婚の成立、人間関係の和合や人縁を求める際に活用する。
丙奇金銭や物質を求める際に効力を発揮する。金策やより良質な物質との縁、好機の到来を求める際に活用する。
丁奇情報や智慧を求める際に効力を発揮する。学力向上や試験合格、情報収集や研究成果を求める際に活用する。
戊儀信用や実績を求める際に効力を発揮する。信頼関係の構築や商取引の成功、実績などを求める際に活用する。
己儀愛情や人気を求める際に効力を発揮する。愛情や人気を獲得し、魅力や忍耐力の向上を求める際に活用する。
庚儀大凶吉格を構成することは無いため、基本は全ての事に不利に働く。特殊な場合においてのみ限定的に活用する。
辛儀離縁や解脱を求める際に効力を発揮する。断捨離や過去の清算、私利私欲からの解放を求める際に活用する。
壬儀競技や勝利を求める際に効力を発揮する。競技での勝利や駆け引きが有利になることを求める際に活用する。
癸儀隠居や清算を求める際に効力を発揮する。事の真相の隠蔽や芸術力の向上、隠遁生活を求める際に活用する。

旬首六十干支
戊儀甲子 乙丑 丙寅 丁卯 戊辰 己巳 庚午 辛未 壬申 癸酉
己儀甲戌 乙亥 丙子 丁丑 戊寅 己卯 庚辰 辛巳 壬午 癸未
庚儀甲申 乙酉 丙戌 丁亥 戊子 己丑 庚寅 辛卯 壬辰 癸巳
辛儀甲午 乙未 丙申 丁酉 戊戌 己亥 庚子 辛丑 壬寅 癸卯
壬儀甲辰 乙巳 丙午 丁未 戊申 己酉 庚戌 辛亥 壬子 癸丑
癸儀甲寅 乙卯 丙辰 丁巳 戊午 己未 庚申 辛酉 壬戌 癸亥

◆ 奇門遁甲における八門

奇門遁甲盤の構成要素となる八門は、「休門」「生門」「傷門」「杜門」「景門」「死門」「驚門」「開門」で構成されます。 奇門遁甲は別名八門遁甲とも呼ばれ、この八門は流派間での相違が無い非常に重要な要素となります。 立向盤では、基準となる土地から八方位にある「門をくぐる」ことで、どのような光景が広がるのか、どのような気が満ちているのか、を表すと考えます。 座山盤では、基準となる土地の八方位にある「門」から、どのような気が満ちてくるのか、どのような人や事象が訪れるのか、を表すと考えます。


八門の吉凶は、「休門 生門 開門」を「三吉門」と称し、吉象意のある要素として重視します。 「景門」は吉凶半々の「平門」とし、「傷門 杜門 死門 驚門」は「凶門」として考えます。


奇門遁甲における八門


奇門遁甲における八門


八門吉凶象意
休門慶事が訪れる 周囲と喜びを分かち合う ゆっくり休んで喜べる 大きな出来事が起こる
生門純粋な思いに浸れる 大きなものを生み出す 生命の尊さを実感する 幸せが訪れる
傷門けがなどをして身体を損なう 大事なものを失う 心を痛めて辛いく苦しい思いをする
杜門閉鎖的な状況に陥る 方向性を失い迷走する 冷静さを欠き判断を誤る 人に騙される
景門多くの人が集まり多くの人に見られる 周囲からの注目を浴びる 輝きや華麗さを得る
死門状況に終止符が打たれる 望まつ結末に至る 周囲の人の死や葬儀に関係する 凶事が訪れる
驚門予測できない事態に陥る 緊張が絶えない状況が続く 精神面での安定性を欠く
開門努力が報われる 成功や発展への道が開かれる 自由を得て可能性が広がる 大事が始まる

◆ 奇門遁甲における九星

奇門遁甲盤の構成要素となる九星は、「天蓬星」「天芮星」「天冲星」「天輔星」「天禽星」「天心星」「天柱星」「天任星」「天英星」で構成されます。 この九星は流派間での解釈や重要度が異なることが多くなります。 立向盤では、基準となる土地から八方位に赴くことで、どのような人と出会うのかを表すと考えます。 座山盤では、基準となる土地に対して八方位から、どのような人が訪れて来るのかを表すと考えます。 日本の気学における「九星」とは違い、奇門遁甲では「天蓬九星」となります。


九星の吉凶は、「天輔星 天禽星 天心星」を「大吉星」とし、「天冲星 天柱星 天任星」を「小吉星」とします。 また、「天英星」を「小凶星」とし、「天蓬星 天芮星」を「大凶星」とします。


奇門遁甲における九星


奇門遁甲における九星


九星吉凶象意
天蓬星大凶予期せぬ問題の到来 精神面が不安定になる 安定が失われる 問題が悪化していく
天芮星大凶立場が不安定になる 問題や悩み事が訪れる 精神的に追いつめられる 予期せず問題の発生
天冲星小吉勢い良く前進できる 積極性や行動力が備わる 立場や状況や飛躍的に上昇する
天輔星大吉慶事が訪れる 周囲と喜びを分かち合う ゆっくり休んで喜べる 大きな出来事が起こる
天禽星大吉少ない労力で大利を得る 計略を巡らせて勝利を得る 人の信頼を勝ち取る 収穫が多い
天心星大吉精神的な関係性の向上 人間関係の好転と絆の形成 心身ともに健康を得る 喜びごとが訪れる
天柱星小吉重要な拠点や大事なものを守れる 周囲と協力して問題を乗り越える 何事も安定する
天任星小吉目上から評価されて信頼を得る 信頼できる目下を得て任せられる 重責を担う 役割を与える
天英星小凶表面ばかりの関係に陥る 妬みや嫉妬を買う 人間関係の問題に足を引っ張られる 中身が無い

◆ 奇門遁甲における八神

奇門遁甲盤の構成要素となる八神は、「直符」「騰蛇」「太陰」「六合」「勾陳(白虎)」「朱雀(玄武)」「九地」「九天」で構成されます。 この八神は流派間での解釈や重要度が異なることが多くなります。 立向盤では、基準となる土地から八方位に赴くことで、自分自身がどのような処遇を受けるのかを表すと考えます。 座山盤では、基準となる土地に対して八方位から、訪れて来る人や気から、どのような処遇を受けるのかを表すと考えます。 流派によっては最重要視する要素でもあります。


八神の吉凶は、「直符 太陰 六合 九天」を「吉神」とし、「騰蛇 勾陳(白虎) 朱雀(玄武)」を「凶神」とします。 また、「九地」に関しては吉神として扱うこともありますが、凶神として扱うこともあります。


奇門遁甲における八神


奇門遁甲における八神


八神吉凶象意
直符公正明大な状況になる 周囲からの信頼を得る 正しい道を進める 好条件で契約内容が決まる
騰蛇危険なものが突然現れる 感情が高ぶり抑えが効かなくなる 怒りや憎しみのような感情に支配される
太陰日々の地道な努力が実る 周囲を支えることで成功する 感謝できるような素敵なことが訪れる
六合すべてを受け入れることで成功できる 全ての物事が集まる 人望も期待も得て物事に向き合う
勾陳 白虎安定していたものが突然傾く 物事が停滞して動けなくなる 顧客からの苦情が殺到する
朱雀 玄武気や物が失われていく 火災などの災難に遭う 焦らされる状況になる 重要な判断を誤る
九地周囲を包み込む 謙遜することで信頼を得る 人を支えることで道が開ける 立場を最大限に生かせる
九天立場や条件が大いに向上する 目上の人との縁が開ける 重要な責任を担う 上の世界に昇り始める

◆ 奇門遁甲における九宮

奇門遁甲盤の構成要素となる九宮は、「一白」「二黒」「三碧」「四緑」「五黄」「六白」「七赤」「八白」「九紫」で構成されます。 この九宮は、流派間での解釈や重要度が異なることが多くなります。 立向盤では、基準となる土地から八方位に赴くことで、自分自身がどのような環境に置かれるのかを表すと考えます。 座山盤では、基準となる土地に対して八方位から、訪れて来る人や気が、環境からどのような影響を受けるのかを表すと考えます。 日本の九星気学で取り入れられている要素であります。


九宮の吉凶は、「一白 六白 八白 九紫」を「吉宮」とし、「二黒 三碧 四緑 七赤」を「平宮」とします。 また、「五黄」のみを「凶宮」として考えます。


奇門遁甲における九宮


奇門遁甲における九宮


九宮吉凶象意
一白状況や心境は落ち着き安定する 冷静な対応が成功に至る 心に余裕が持てる
二黒堅実で真面目な姿勢 平和な環境 安定した状況 質素と倹約 地味ながらも安定
三碧活発で動きが多い 積極的に変化する 動きが速く鋭い 常に変化して行動する
四緑状況に合わせた対応 臨機応変に動ける 平和な状況や環境を維持する 柔軟さと機転
五黄問題や障害の発生 不慮の事件や事故に遭遇 進む道が塞がれる 問題は悪化する 不運な状況に陥る
六白内面の充実 外面の発展 成功に至る勇気と決断 行動することで成功する
七赤明るく楽しい状況 状況に適切な対応ができる 楽観的に対応することで成功 快楽的
八白努力と忍耐が報われる 真面目な姿勢が評価される 堅実と安定 評価と出生
九紫積極的に行動する 勇気と覚悟を手にする 行動が成功と繁栄に至る

◆ 遁甲盤の解釈の仕方

遁甲盤を構成する上記の要素の配分により、吉凶を判断するのが奇門遁甲の解釈となります。 方位の吉凶を判断するだけではなく、卜術として関連する方位を構成している要素から吉凶を判断する手法もあります。 構成する要素の組み合わせにより、「格局」という特別な要素が生まれることもあります。 その際には、遁甲盤を構成する要素に「格局」の象意を加算して吉凶を判断することになります。


方位の吉凶を判断する際には、「天干 地干 八門」を重視して吉凶を判断します。 卜術として吉凶を判断する際には、「八神 八門 九星」を重視して「天干 地干」を関連要素として考えます。 奇門遁甲を活用して易卦を立てる際には、「九星 八門」から立卦します。


遁甲盤の解釈の仕方


遁甲盤の解釈の仕方


占断解釈の仕方
方位「天干 地干 八門」を重視して格局と目的に合わせて活用する。
卜占「八神 八門 九星」を重視して「天干 地干」を関連要素とする。
立卦「九星 八門」を元に九星を上卦、八門を下卦として立卦します。

◆ 奇門遁甲の局数と作盤法

奇門遁甲盤を作成する際に、作成する年月日時の干支と奇門遁甲特有の局数を算出する必要があります。 また、昨晩する際には洛書(九数図)の概念や旬首、陰陽局の概念などが必須となります。 各要素の定位や奇門遁甲独自の二十四節気、方位と暦の関連性などを把握しておくことも大事になります。


奇門遁甲特有の局数の算出法に関しては、流派間で大きく違い、局数が元で作成される盤が大きく変わることになります。 また、活盤式か飛宮式で作成される盤が変わるため、非常に多くの種類の遁甲盤が存在することになります。 奇門遁甲入門では、これら複雑な局数算出法や作盤法に関しては省略しています。


奇門遁甲の局数と作盤法


奇門遁甲の局数と作盤法


概念考え方
局数昨晩する年月日時の干支と、奇門遁甲独自の二十四節気などを考慮して局数を算出する。
作盤奇門遁甲における局数を算出した後、活盤式や飛宮式で要素を配置して作盤していく。

◆ 立向盤・座山盤

奇門遁甲における立向盤は「動の盤」とされ、行動を伴う方位の吉凶判断に使用します。 人が移動する際に、移動元から移動先への方位の吉凶を判断します。 出発点を基準とし目的地の方位が吉方位であれば、その象意を獲得でき、凶方位であればその象意が現れることになります。 一般的な奇門遁甲や方位を用いた占術は、この立向盤の概念に相当します。


奇門遁甲における座山盤は「静の盤」とされ、各方位から拠点に訪れる気の吉凶判断に使用します。 拠点となる土地に対して各方位から訪れる気や、その土地の中心から見て各方位に流れる気の吉凶を判断します。 対象となる土地や家屋の中心点から見て、吉方位の土地を動かせばその象意を獲得でき、凶方位であればその象意が現れることになります。 奇門遁甲における造作法や呪術的な要素は、この座山盤の概念に相当します。


立向盤・座山盤


立向盤・座山盤


▼ 立向盤・座山盤の違い

別名概念判断対象
立向盤動の盤行動移動先の土地に満ちる気
座山盤静の盤静観基準点の土地に訪れる気

◆ 年月日時盤

▼ 年盤 立向 座山

立向年盤は、主に不動産の購入を検討する際に活用します。不動産購入時(所有権の移譲)から効果が表れます。住まなくても影響を受けます。
座山年盤は、主に年をまたぐような巨大建造物の建築を検討する際に活用します。建築開始時(土地を動かし始める時)から効果が表れます。住まなくても影響を受けます。


▼ 月盤 立向 座山

立向月盤は、主に引越しや出店を検討する際に活用します。太陰移動には49日の連泊が必要です。月盤と日盤を合わせて考慮します。
座山月盤は、主に住居の建築や月をまたぐようなリフォームをする際に活用します。住居や墓地の建て替えで考慮します。


▼ 日盤 立向 座山

立向日盤は、主に開運術としての旅行や出張(宿泊 1~2泊以上)をする際に活用します。月盤と合わせ、引っ越しや出店をする際にも使えます。
座山日盤は、主に日をまたぐ住居や庭のリフォームをする際に活用します。開運術として土地を動かす際に考慮します。


▼ 時盤 立向 座山

立向時盤は、主に開運術としての旅行や出張(日帰り~1泊)をする際に活用します。日盤と合わせ、開運旅行(宿泊)をさらに効果的にします。
座山時盤は、主に住居や庭の1日以内のリフォームをする際に活用します。開運術として土地を動かす際に考慮します。


※奇門遁甲は日盤・時盤を開運術として活用するのが効果的になります。年盤・月盤は主に不動産の購入や転居にて活用するのが効果的になります。


年月日時盤


年月日時盤


立座使い方
年盤 立向不動産の購入
座山巨大建造物の建築
月盤 立向転居や出店
座山住居の建築や改修
日盤 立向宿泊を伴う旅行や出張
座山住居や庭の改修と造作
時盤 立向日帰り旅行や日々の行動
座山住居や庭の改修と造作

◆ 年月盤を活用した転居

転居(引っ越し)の基準は、最初に住み(寝泊り)始める日となります。 契約した日や、最初に訪問した日ではありません。 購入や契約後、掃除や下見などで訪れても住み始めなければ引っ越しに相当しません。 最初に居住を始める日、一般的に引っ越し業者などを利用し、荷物を運び入れて生活(寝泊り)を開始する日が基準になります。


この転居の基準になる日が、年月日時盤(特に引っ越しは年月盤)で良い方位になるのが理想の引っ越しになります。 基準になる日から7週間(49日)生活することにより、引っ越しが完了(太陰が移動)します。 これは、自分(家族)の生活の中心(太陰)が移動して定着するためには時間が必要になるためです。 目安は新しい家や環境に馴染むまでの期間となります。 この太陰が移動するまでに、住居を長期間空けてしまうと、太陰の移動が遅くなる(できない)場合があります。 また、長期に空けすぎると転居の基準日が変わってしまうこともあるので注意が必要となります。 転居をする際には、転居する日だけではなく、その後の予定も考慮して計画的に実行してください。


不動産の購入や永住をする際には、生涯(60年間)に渡り引っ越し方位の影響が現れます。 そのため、慎重に方位と購入や転居の時期を検討してください。 賃貸の場合には、その後の転居なども可能になるため、それほど深刻に考えなくとも問題はありません。 ただし、悪い方位を避けることは大事なこととなります。 賃貸での転居の際には、月盤を基準にして年盤を参考にし、日時盤で調整していきます。 転居をする際に徒歩圏内であれば、方位は考慮しないと考えることもありますが、常に方位の影響を考慮して問題はありません。 距離の目安としては、徒歩で2時間(1刻)で移動できる距離、約10km以上から方位をより重視すると良いでしょう。


年月盤を活用した転居


年月盤を活用した転居


▼ 転居時の確認事項

購入時年盤を重視して月盤を参考にする
賃貸時月盤を重視して年盤を参考にする
転居日上記を考慮して日盤と時盤で調整
基準日生活(寝泊まり)を開始する日
期間49日間を基準 不動産購入時は1年間
方位転居前の住居から8方位 際は避ける
距離目安として10km以上

◆ 日盤を活用した開運旅行

旅行(宿泊)に出発する日の日盤の方位を考慮します。奇門遁甲の開運旅行は非常に効果的になります。

出発点(自宅や宿泊地など)を中心にし、旅行先が日盤の吉方位になるように日時を調整します。 自宅から吉方位への旅行ができない場合、当日前に旅行先が吉方位となる場所(拠点A)に宿泊して調整することも可能です。 この場合、自宅から拠点Aへの移動が吉方位となるように、日時盤で調整して準備をします。 この際、凶方位になると凶方位の影響も受けることになりますが、滞在時間を24時間以内にすることで回避することができます。


先に旅行の日時が決まっている場合は、その日の日盤に合わせて旅行先を調整します。(※この場合、旅行先や方位が限定的になるので注意も必要です。) 奇門遁甲を活用する際には、先に効果的な吉方位の日時を確認し、それに合わせて旅行計画を調整するような使用法がお勧めになります。


日盤を使った開運旅行は、旅行先の現地周辺に24時間滞在することが大事になります。 旅行先では現地の水、食材、空気、温泉などをしっかり摂取、活用してください。 旅行先に満ちている三才(天地人)の気を取り込むことが重要になりますが、奇門遁甲は大地の気の流れを読む占術になるため、特に土地の気を取り込むことが必須となります。


旅行先への距離の問題は、基本的には気にしなくとも問題はありません。 しかし、余りに近すぎると旅行先での行動範囲が狭くなることや、現地の気を取り入れるのが困難になります。 また、せっかくの旅行になりますので、気分転換も含め、ある程度があり日常と違う環境に滞在することをお勧めします。 目安としては日盤を使った開運旅行では、約39km(1日で行軍できる距離)となり、50kmほど離れると無難でしょう。


日盤を活用した開運旅行


日盤を活用した開運旅行


▼ 開運旅行の確認事項とお勧め

方位出発点を起点に8方位 際は避ける
距離50kmを目安として約02時間の移動
滞在現地(移動先の方位)に24時間滞在
行動現地で三才の気を十分に取り込む
天気現地の空気 パワースポット 天候
地気現地の食材 温泉 湧き水 土 樹木
人気現地での人と有意義な会話や交流
祈祷目的に合わせた神社仏閣での祈祷
足跡食事 宿泊 ご祈祷等で金銭を使う

◆ 時盤を活用した開運旅行

旅行(日帰り)に出発する日の時盤の方位を考慮します。時盤を使った移動も非常に効果的です。

出発点(自宅や会社)を中心にし、旅行先(移動先)が時盤の吉方位になるように調整します。 先に日時が決まっている場合は、その日の時盤に合わせて旅行先(移動先)を調整します。 ※この場合、旅行先(移動先)や方位が限定的になるので注意も必要です。


時盤を使った開運旅行は、現地滞在2時間(一刻をまたぐ)以上を目安に企画してください。 旅行先では現地の水、食材、空気、温泉などをしっかり摂取、活用してください。 旅行先に満ちている三才(天地人)の気を取り込むことが重要になりますが、奇門遁甲は大地の気の流れを読む占術になるため、特に土地の気を取り込むことが必須となります。


旅行先への距離の問題は、基本的には気にしなくとも問題はありません。 しかし、余りに近すぎると旅行先での行動範囲が狭くなることや、現地の気を取り入れるのが困難になります。 また、せっかくの旅行になりますので、気分転換も含め、ある程度があり日常と違う環境に滞在することをお勧めします。 目安としては時盤を使った開運旅行では、約3.9km(1時間で行軍できる距離)となり、5kmほど離れると無難でしょう。


奇門遁甲の立行時盤は、普段の散歩やジョギングを開運術として応用することができます。 出発点から吉方位の神社仏閣(パワースポット)に、定期的にお参りに行くと健康にも良く開運効果も期待できるのでお勧めとなります。 熱中症や肉離れなどにはくれぐれもお気を付けください。


時盤を活用した開運旅行


時盤を活用した開運旅行


▼ 開運旅行の確認事項とお勧め

方位出発点を起点に8方位 際は避ける
距離3.9kmを目安として約1時間の移動
行動現地で三才の気を十分に取り込む
天気現地の空気 パワースポット 天候
地気現地の水 手水舎 御神木に触れる
人気現地までの人に挨拶や会話をする
足跡現地の神社仏閣でお賽銭を入れる

◆ 立向座山 年月日時盤のまとめ

奇門遁甲の立向盤では、基準となる場所から移動を伴う事象において、方位の吉凶を判断していきます。 転居や出張、旅行や散歩などの移動時に考慮することで方位の吉意を最大限に取り入れることができます。 立向盤では、基準となる場所から移動した方位にて、年月日時盤のそれぞれに合わせた期間の滞在により、その効果を得るというのが基本になります。 逆に凶方位への異動となる際には、滞在期間を調整することや、現地の土地の気を極力避けることで対応します。


奇門遁甲の座山盤では、基準となる土地や建物内の気を動かす事象において、方位の吉凶を判断していきます。 住居や建築物の建造、改築や造園などの基準となる土地に対しての方位を考慮することで、吉意を最大限に取り入れることができます。 座山盤では、基準となる土地や建物への方位に対して、年月日時盤のそれぞれに合わせた期間の造作により、その効果を得るというのが基本になります。 逆に凶方位の造作となる際には、造作期間を調整することや、基準となる土地や建物の気を極力動かさないことで対応します。


立向座山 年月日時盤のまとめ


立向座山 年月日時盤のまとめ


立向活用目的活用方法
年盤不動産購入(永住)での転居1年以上の生活
月盤賃貸などでの一時的な転居1月以上の生活
日盤宿泊を伴う開運旅行や出張1日以上の滞在
時盤日帰りでの開運旅行や生活1刻以上の滞在
座山活用目的活用方法
年盤巨大建造物の建設1年以上の建設
月盤通常住居等の建設1月以上の建築
日盤住居の改築や造園1日以上の造作
時盤住居の改築や造園1刻以上の造作

◆ 奇門遁甲活用の注意事項

奇門遁甲盤を活用する際に大事なのは、「事前に引っ越しや旅行の日時を決めない」ことになります。 事前に日時が決まってしまっている場合、融通が利かなくなるため、凶方位の移動になってしまうことも多々あります。 引っ越しの場合、先に方位を決め、吉日にあたる年月日に引っ越しをするようにしましょう。 旅行の場合は、行きたい旅行先(方位)を決め、吉日にあたる日に旅行をするのが最適です。 また、吉日吉方位に合わせて旅行先を決めるのがお勧めです。 旅行の日時が決まっている場合、その日時の吉方位への旅行を検討すると良いでしょう。


引っ越しや旅行が、どうしても凶方位になってしまう場合には、引っ越しや旅行後に、吉方位への旅行(移動)を定期的に継続していきましょう。 損なわれた運を、定期的に取り戻していくことが大事になります。 また、予定されている移動が凶方位になる場合、一度別の方位に移動し、そこから目的地が吉方位となるように方位を変えることもできます。 奇門遁甲で吉意を得る手段を極力避けることで、凶意を軽減することもできます。 立向盤では滞在時間の調整や、移動先となる現地の気を極力受けないようにすることで、凶意を軽減することができます。 座山盤では造作期間の調整や、基準となる土地や建物の気を極力動かさないことで、凶意を軽減することができます。


奇門遁甲活用の注意事項


奇門遁甲活用の注意事項


▼ 注意事項と対策

・事前に転居や旅行の日時を決めない
・吉方位を厳選してから転居や旅行を計画する
・移動先が凶方位となる際は一度方位を変える
・移動先が凶方位となる際は現地の気を極力避ける
・造作方位が凶方位となる際は期間を極力短くする
・造作方位が凶方位となる際は気を極力動かさない
・凶方位となる際は立向座山共に後から吉意を補う

◆ 奇門遁甲入門 総括

奇門遁甲入門では、局数の算出法や作盤法、応期などは気にせず、遁甲盤を活用して開運する方法をシンプルに会得します。 遁甲盤や遁甲カレンダーなどを参考にして、吉方位に対してアプローチすることで、開運することを目指します。 住居の建築や転居ともなると、負担も大きくなるため、最初は旅行や散歩などで奇門遁甲を取り入れると良いでしょう。


「方位の選び方」を参考にして、吉方位となる日時の盤を選んだ後は、自然時と方位の中心、距離などを意識して旅行などの移動計画を立てて行きます。 基本は生活の拠点がある自宅を出発点とし、自然時を意識して出発します。 移動後は「滞在時間」と「現地の気」を得ることを意識して、旅行や移動先の環境を満喫します。 帰宅後は事の変化を意識して過ごすことが大事になります。


奇門遁甲の効果は移動中から発生することがあります。 稀に好転反応が起こり、体調が一時的に悪化することや不調を感じることもあります。 運気が大きく変わろうとする際に、身体に症状として現れるもので、このような際には無理をせずに十分静養されるようにしてください。



奇門遁甲入門 総括


奇門遁甲入門 総括


▼ 奇門遁甲入門 総括

・開運する意識を持ち旅行や移動を楽しむこと
・自然時と方位の中心を意識して計画すること
・滞在時間と現地の気を意識して取り込むこと
・移動後の変化や小さな幸運にも感謝すること
・運勢が良くなるイメージを具体的に持つこと