■奇門遁甲の構成要素
奇門遁甲で大事になる遁甲盤を構成する要素は、「地盤干 天盤干 八門 天蓬九星 八神 九宮」の6要素になります。 これは奇門遁甲の立向盤でも座山盤においても同じになり、それぞれ基準となる干支や局数を元に様々な組み合わせで遁甲盤が構成されていきます。 ここでは、この遁甲盤を構成する基本の6要素の概要などを解説していきます。 各要素の詳細や象意などに関しては、各要素の詳細解説を参考にしてください。
また、奇門遁甲では基準となる60干支や陰陽局、1~9の局数と遁甲盤を構成する要素からなる格局など様々な専門的な要素があります。 この多様な要素と複雑な作盤法から各遁甲盤が構成されていきますが、構成された遁甲盤の解釈の仕方や活用法などは共通のものになります。 年月日時盤と立向盤座山盤で、活用の仕方などの詳細は変わることになりますが、構成する要素は全て同じになるため、遁甲盤を構成する要素を理解しておくことは重要になります。 八神の内容などが一部流派で少し変わることはありますが、その他の構成要素はどの流派でもほぼ共通のものになります。
要素 | 読み | 内容 |
地盤干 | ちばんかん | 甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸 |
天盤干 | てんばんかん | 甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸 |
八門 | はちもん | 休門 生門 傷門 杜門 景門 死門 驚門 開門 |
天蓬九星 | てんぽうきゅうせい | 天蓬星 天芮星 天冲星 天輔星 天禽星 天心星 天柱星 天任星 天英星 |
八神 | はちしん | 直符 騰蛇 太陰 六合 勾陳 朱雀 九地 九天 |
九宮 | きゅうぐう | 一白 二黒 三碧 四緑 五黄 六白 七赤 八白 九紫 |
要素 | 内容 |
時の干支 | 基準となる年月日時の干支 甲子 ~ 癸亥までの60干支 |
旬首 | 基準となる年月日時の干支となる時の干支を代表する干 甲子(戊) 甲寅(己) 甲辰(庚) 甲午(辛) 甲申(壬) 甲戌(癸) |
陰陽局 | 陰局と陽局 年月盤では座山盤が陰局となり立向盤が陽局となる 日時盤では夏至から冬至までが陰局となり冬至から夏至までが陽局となる |
局数 | 遁甲盤の局数は上記陰局と陽局からなる 陰陽局それぞれ1~9局の計18局となる |
立向盤 | 主に基準となる土地から八方位に巡る土地の気の良し悪しを判断する遁甲盤 使用する際には巡る気を取りに行く |
座山盤 | 主に基準となる土地に対し八方位から訪れる気の良し悪しを判断する遁甲盤 使用する際には訪れる気を受け取る |
直使 | 遁甲盤を作盤する際に基準となる八門のこと 分かりやすく直使八門と表記することもある |
(大)直符 | 遁甲盤を作盤する際に基準となる天蓬九星のこと 八神の直符と区別するため大直符と表記することもある |
格局 | 遁甲盤を構成する要素の組み合わせ 吉格局は吉意が増し凶格局は凶意が増す 構成要素からなる役のようなもの |
■奇門遁甲の地盤干と天盤干
奇門遁甲の遁甲盤で非常に重要になるのがこの地盤干と天盤干になります。 中国本土の奇門遁甲の流派によっては、この地盤干と天盤干はあまり重視しないという流派もあります。 ここでの奇門遁甲では、この地盤干と天盤干が非常に重要になり、その組み合わせの吉凶でその方位が活用できるかどうかが大きく変わることになります。 この地盤干と地盤干は、十干(甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸)から構成され、天地盤の干の組合せを四柱推命や八字の十干の解釈と同じように考えて行きます。
この地盤干と天盤干の十干の象意や解釈に関しては、四柱推命や八字と一部異なることもありますが、基本的な背景は同じになります。 奇門遁甲での十干の象意や解釈の仕方を基準とし、その方位に巡る(訪れる)気の性質などを判断し、活用していくのがここでの奇門遁甲の基本になります。 奇門遁甲では、この十干を「甲尊」「三奇」「六儀」に区分するのが特徴的であり、それぞれの良さや活用法、吉意の大小などを持つものになります。
地盤干と天盤干の「甲尊」とは、十干の「甲」のことであり、奇門遁甲では旬首や王様として考慮することになります。 「三奇」とは、十干の「乙 丙 丁」のことであり、奇門遁甲では吉意を持つ干として考慮することになります。 「六儀」とは、十干の「戊 己 庚 辛 壬 癸」のことであり、奇門遁甲では吉意や凶意を持つ干として考慮することになります。
奇門遁甲の地盤干と天盤干
要素 | 読み | 内容 |
甲尊 | こうそん | 十干の「甲」のこと 奇門遁甲では代表となる旬首や王様として考慮する |
三奇 | さんき | 十干の「乙 丙 丁」のこと 奇門遁甲では吉意を持つ十干として考慮する |
六儀 | りくぎ | 十干の「戊 己 庚 辛 壬 癸」のこと 奇門遁甲では吉意や凶意を持つ十干として考慮する |
■奇門遁甲の八門
ここでの奇門遁甲では、地盤干と天盤干の次に大事になるのがこの八門となります。 古い時代の奇門遁甲は、八門遁甲と呼ばれていたように、この八門が重要な要素をになっていたとされています。 ここでの奇門遁甲では、天地盤干と八門を重視することで、その尊甲盤が活用できるかどうかを判断しやすくなります。
奇門遁甲の八門は、「休門 生門 傷門 杜門 景門 死門 驚門 開門」となり、三吉門と一平門、四凶門で区分されます。 三吉門とは「休門 生門 開門」となり、吉意を持つ八門としてその方位の吉意を増すことになります。 一平門とは「景門」となり、吉凶半々の八門であり、使用する用途や内容によっては吉門にも凶門にもなります。 四凶門とは「傷門 杜門 死門 驚門」となり、凶意を持つ八門としてその方位の凶意を増すことになります。
ここでの奇門遁甲の基本は、天地干の構成が良く八門が三吉門であれば活用しやすい盤となると判断します。 一部例外などもありますが、この天地干と八門の組合せが非常に大事になります。
奇門遁甲の八門
要素 | 読み | 内容 |
三吉門 | さんきちもん | 八門の「休門 生門 開門」のこと 吉意をもつ方位として考慮する |
一平門 | いちへいもん | 八門の「景門」のこと 使用する用途により吉意と凶意とが変わると考慮する |
四凶門 | よんきょうもん | 八門の「傷門 杜門 死門 驚門」のこと 凶意をもつ方位として考慮する |
■奇門遁甲の天蓬九星
ここでの奇門遁甲では、この天蓬九星の吉凶の判断は参考の一つにするという内容になります。 時盤を重視する一部の流派では、この天蓬九星の吉凶を重視して遁甲盤を使用しています。 年月日時と立向座山を考慮するここでの奇門遁甲では、参考要素として考慮する内容となります。
奇門遁甲の天蓬九星は、「天蓬星 天芮星 天冲星 天輔星 天禽星 天心星 天柱星 天任星 天英星」となります。 天蓬九星は吉意を持つ6つの要素と凶意を持つ3つの要素に区分され、大吉3と小吉3、小凶1と大凶2という詳細な区分となります。 大吉意を持つ天蓬九星は、「天輔星 天禽星 天心星」となり、小吉意を持つ天蓬九星は「天冲星 天柱星 天任星」となります。 小凶意を持つ天蓬九星は、「天英星」となり大凶意を持つ天蓬九星は「天蓬星 天芮星」となります。
奇門遁甲の天蓬九星
要素 | 内容 |
大吉 天蓬九星 | 「天輔星 天禽星 天心星」となる 構成する奇門遁甲盤の吉意と安定感を強く増す要素となる |
小吉 天蓬九星 | 「天冲星 天柱星 天任星」となる 構成する奇門遁甲盤の吉意と安定感を増す要素となる |
小凶 天蓬九星 | 「天英星」となる 構成する奇門遁甲盤の凶意と不安定感を増す要素となる |
大凶 天蓬九星 | 「天蓬星 天芮星」となる 構成する奇門遁甲盤の凶意と不安定感を強く増す要素となる |
■奇門遁甲の八神
ここでの奇門遁甲では、八神は遁甲盤の方位の吉凶の判断の一つの要素として考慮するという流れになります。 この八神を重視する流派もありますが、ここでの奇門遁甲では、天地干と八門の次に重視する要素としてこの八神を考慮していきます。 天地干と八門が良く、この八神が良ければ、その遁甲盤の方位を大いに活用できるでしょう。
奇門遁甲の八神は、「直符 騰蛇 太陰 六合 勾陳 朱雀 九地 九天」の8要素となります。 流派により、「白虎 玄武」を考慮する流派もあり、その際には陽局(陽遁)では「勾陳 朱雀」となり陰局(陰遁)では「白虎 玄武」となります。 八神は五吉神と三凶神とに区分され、五吉神は「直符 太陰 六合 九地 九天」となり、三凶神は「騰蛇 勾陳(白虎) 朱雀(玄武)」となります。
奇門遁甲の八神
要素 | 内容 |
五吉神 | 「直符 太陰 六合 九地 九天」となる 構成する奇門遁甲盤の吉意と安定感を増す要素となる |
三凶神 | 「騰蛇 勾陳(白虎) 朱雀(玄武)」となる 構成する奇門遁甲盤の凶意と不安定感を増す要素となる |
■奇門遁甲の九宮
ここでの奇門遁甲では、九宮の要素は方位の吉凶の参考の一つになります。 奇門遁甲盤を構成する6つの要素の中では、天蓬九星と併せて他の要素ほど重視することはありません。 しかし、この九宮の要素を重視する流派などもあり、日本の九星気学などでは主要となる要素になります。
奇門遁甲の九宮は、「一白 二黒 三碧 四緑 五黄 六白 七赤 八白 九紫」の9つの要素となります。 九宮は四吉宮と四平宮、一凶宮の3つに区分され、それぞれの方位の吉意や凶意を補助するという視点で考慮していきます。 四吉宮は「一白 六白 八白 九紫」となり、四平宮は「二黒 三碧 四緑 七赤」となり、一凶宮は「五黄」となります。 日本の九星気学の視点を考慮しなければ、五黄以外は気にせず使用できることとなります。
奇門遁甲では、基本的に「五黄殺 暗剣殺 本命殺 本命的殺」などの要素は考慮することはありません。 奇門遁甲は古代中国においての兵法であり、個人ではなく軍隊全体の行軍を考慮し、他の5つの要素と併せて判断していくからになります。 日本の九星気学と併せて奇門遁甲を考慮する流派では、上記の内容を考慮することもあるかもしれません。
奇門遁甲の九宮
要素 | 内容 |
四吉宮 | 「一白 六白 八白 九紫」となる 構成する奇門遁甲盤の吉意と安定感を増す要素となる |
四平宮 | 「二黒 三碧 四緑 七赤」となる 構成する奇門遁甲盤の安定感を増す要素となる |
一凶宮 | 「五黄」となる 構成する奇門遁甲盤の凶意と不安定感を増す要素となる |