■奇門遁甲の凶格局
奇門遁甲では、遁甲盤を構成する要素の組み合わせにより、「格局」という特別な組み合わせが存在します。
天盤干と地盤干との組み合わせが様々な呼ばれ方をするのと同じように、「天干 地干 八門 天蓬九星 八神 九宮 卦位」の組合せが特殊になる場合、「格局」を形成するとなります。
この格局は奇門遁甲の遁甲盤で方位の吉凶を判断する際に非常に重要になる要素になります。
吉意を持つ格局はその方位の吉意を増すことになり、凶意を持つ格局はその方位の凶意を増すことになります。
ここでは凶意を持つ格局を解説していきますが、凶意を持つ格局はその方位の凶意を強めるため存在するだけで注意が必要になる方位となります。
奇門遁甲の格局では、年月日時盤と立向盤、座山盤の全ての盤で考慮されるものになります。
凶格局が形成される場合、立向盤ではその方位に向かうと凶事に見舞われ、座山盤では凶事が訪れるという感じで考えて行きます。
凶格局の基本は、奇門遁甲盤を構成する要素の中でも、凶意を持つものが組み合わされることで現れるというものになります。
そのため、格局を考慮しなくても、使用しない方が良いというような構成内容になっていることが多くなります。
奇門遁甲の基本は吉格局を形成する方位を積極的に活用し、凶格局を形成する方位は避けるというのが基本になります。
奇門遁甲の流派により、格局の考え方や、形成条件などが変わりますので注意も必要になります。
▼奇門遁甲における凶格局
主凶格局 | 読み |
青龍逃走 | せいりゅうとうそう |
白虎猖狂 | びゃっこしょうきょう |
朱雀投江 | すじゃくとうこう |
騰蛇妖矯 | とうだようきょう |
時系凶格 | 読み |
歳格 | さいかく |
月格 | げつかく |
日格(伏干) | にちかく |
時格 | じかく |
庚系凶格 | 読み |
大格 | たいかく |
小格 | しょうかく |
刑格 | けいかく |
戦格 | せんかく |
伏宮格 | ふくきゅうかく |
飛宮格 | ひきゅうかく |
太白入熒 | たいはくにゅうけい |
熒入太白 | けいにゅうたいはく |
他凶格局 | 読み |
伏干 | ふくかん |
雲干 | うんかん |
天羅 | てんら |
地網 | ちもう |
伏吟反吟 | 読み |
天地伏吟 | てんちふくぎん |
八門伏吟 | はちもんふくぎん |
九星伏吟 | きゅうせいふくぎん |
星門伏吟 | せいもんふくぎん |
天地反吟 | てんちはんぎん |
八門反吟 | はちもんはんぎん |
九星反吟 | きゅうせいはんぎん |
補足凶格 | 読み |
門迫(八門受制格) | もんぱく |
三奇入墓 | さんきにゅうぼ |
六儀撃刑 | りくぎげっけい |
五不遇時 | ごふぐうじ |
■奇門遁甲の凶格局の構成条件
奇門遁甲盤を構成する要素により「格局」を考慮し、その方位の吉凶を判断するのが基本的な手順になります。
奇門遁甲の凶格局の基本は、構成する要素がそれぞれ凶意を持つものが合わさる際に凶意が増すという流れで格局が形成されます。
凶格局が形成される際には、凶意を持つ要素が集まっていることにもなるため、それだけで注意が必要になる方位になります。
凶格局を形成する要素以外にも、凶要素を持つものが同宮している場合には、非常に注意が必要になる方位としてとらえることが大事になります。
凶格局を形成している方位に、吉意を持つ要素が同宮していても、凶意を注視して使用しないというのが基本になります。
奇門遁甲を用いての開運術の基本は、吉格局を考慮して方位取りをすることになり、凶方位は迷わずに避けるというのが大事になります。
どうしても凶格局を形成している方位に行かなければいけない、取り入れなければいけない際には、気を得ないように対策することが重要です。
奇門遁甲の流派により、格局の考え方の詳細が変わることや、気を受ける基準が変わりますが、凶方位は避けるのが基本になるのは共通事項になります。
それぞれの流派の考え方に合わせて方位取りをすること、その気を得る事が奇門遁甲の基本的な活用法になります。
ここでの奇門遁甲の凶格局は、一般的な奇門遁甲の凶格局を元に解説しています。
▼凶格局の構成条件
主凶格局 | 構成条件 ※流派により考え方が変わる |
青龍逃走 | 天盤干=乙 地盤干=辛 |
白虎猖狂 | 天盤干=辛 地盤干=乙 |
朱雀投江 | 天盤干=丁 地盤干=癸 |
騰蛇妖矯 | 天盤干=癸 地盤干=丁 |
時系凶格 | 構成条件 ※流派により考え方が変わる |
歳格 | 天盤干=庚 地盤干=年干 |
月格 | 天盤干=庚 地盤干=月干 |
日格(伏干) | 天盤干=庚 地盤干=日干 |
時格 | 天盤干=庚 地盤干=時干 |
庚系凶格 | 構成条件 ※流派により考え方が変わる |
大格 | 天盤干=庚 地盤干=癸 |
小格 | 天盤干=庚 地盤干=壬 |
刑格 | 天盤干=庚 地盤干=己 |
戦格 | 天盤干=庚 地盤干=庚 |
伏宮格 | 天盤干=庚 地盤干=旬首(甲) |
飛宮格 | 天盤干=旬首(甲) 地盤干=庚 |
太白入熒 | 天盤干=庚 地盤干=丙 |
熒入太白 | 天盤干=丙 地盤干=庚 |
他凶格局 | 構成条件 ※流派により考え方が変わる |
伏干 | 天盤干=庚 地盤干=日干 |
雲干 | 天盤干=日干 地盤干=庚 |
天羅 | 天盤干=癸 地盤干=年月日時干 |
地網 | 天盤干=壬 地盤干=年月日時干 |
伏吟反吟 | 構成条件 ※流派により考え方が変わる |
天地伏吟 | 天盤=地盤 |
八門伏吟 | 八門=定位 |
九星伏吟 | 九星=定位 |
星門伏吟 | 定位の八門と九星が同宮 |
天地反吟 |
天盤干=戊 地盤干=辛
天盤干=辛 地盤干=戊
天盤干=己 地盤干=壬
天盤干=壬 地盤干=己
天盤干=庚 地盤干=癸
天盤干=癸 地盤干=庚
|
八門反吟 | 八門=定位の反対 |
九星反吟 | 九星=定位の反対 |
補足凶格 | 構成条件 ※流派により考え方が変わる |
門迫 (八門受制格) |
休門=離宮(九位)
生門=坎宮(一位)
開門=震宮(三位)
景門=兌宮(七位)
|
三奇入墓 |
天盤干=乙 ※坤宮(二位)
天盤干=乙 ※乾宮(六位)
天盤干=丙 ※乾宮(六位)
天盤干=丁 ※艮宮(八位)
|
六儀撃刑 |
天盤干=戊 ※震宮(三位)
天盤干=己 ※坤宮(二位)
天盤干=庚 ※艮宮(八位)
天盤干=辛 ※離宮(九位)
天盤干=壬 ※巽宮(四位)
天盤干=癸 ※巽宮(四位)
|
五不遇時 |
日干=甲 時干支=庚午
日干=乙 時干支=辛巳
日干=丙 時干支=壬辰
日干=丁 時干支=癸卯
日干=戊 時干支=甲寅
日干=己 時干支=乙丑
日干=庚 時干支=丙子
日干=辛 時干支=丁酉
日干=壬 時干支=戊申
日干=癸 時干支=己未
|
■凶格局の構成条件詳細
奇門遁甲盤の各凶格局が、具体的などのような構成になるのかを遁甲盤の構成図に合わせて図に表します。
凶格局の場合は、構成する要素が凶意を持つものが多く、それらが集まることでより凶意を持つというような考え方になります。
奇門遁甲の流派により、凶格局の考え方や構成要素なども変わることがありますが、使用しない方が良いというのが共通認識になります。
一部呪術的な分野で奇門遁甲を活用する際に、凶格局を含む凶方位を使用することがありますが、余り現実的な使用法ではありません。
ここで紹介しているのは一般的な奇門遁甲における格局の構成条件になります。
▼奇門遁甲 凶格局の構成図
▼青龍逃走
天盤干 | 天蓬九星 | 九宮 |
乙 | -- | -- |
地盤干 | 八門 | 八神 |
辛 | -- | -- |
▼白虎猖狂
天盤干 | 天蓬九星 | 九宮 |
辛 | -- | -- |
地盤干 | 八門 | 八神 |
乙 | -- | -- |
▼朱雀投江
天盤干 | 天蓬九星 | 九宮 |
丁 | -- | -- |
地盤干 | 八門 | 八神 |
癸 | -- | -- |
▼騰蛇妖矯
天盤干 | 天蓬九星 | 九宮 |
癸 | -- | -- |
地盤干 | 八門 | 八神 |
丁 | -- | -- |
▼奇門遁甲 時系凶格の構成図
▼歳格
天盤干 | 天蓬九星 | 九宮 |
庚 | -- | -- |
地盤干 | 八門 | 八神 |
年干 | -- | -- |
▼月格
天盤干 | 天蓬九星 | 九宮 |
庚 | -- | -- |
地盤干 | 八門 | 八神 |
月干 | -- | -- |
▼日格(伏干)
天盤干 | 天蓬九星 | 九宮 |
庚 | -- | -- |
地盤干 | 八門 | 八神 |
日干 | -- | -- |
▼時格
天盤干 | 天蓬九星 | 九宮 |
庚 | -- | -- |
地盤干 | 八門 | 八神 |
時干 | -- | -- |
▼奇門遁甲 庚系凶格の構成図
▼大格
天盤干 | 天蓬九星 | 九宮 |
庚 | -- | -- |
地盤干 | 八門 | 八神 |
癸 | -- | -- |
▼小格
天盤干 | 天蓬九星 | 九宮 |
庚 | -- | -- |
地盤干 | 八門 | 八神 |
壬 | -- | -- |
▼刑格
天盤干 | 天蓬九星 | 九宮 |
庚 | -- | -- |
地盤干 | 八門 | 八神 |
己 | -- | -- |
▼戦格
天盤干 | 天蓬九星 | 九宮 |
庚 | -- | -- |
地盤干 | 八門 | 八神 |
庚 | -- | -- |
▼伏宮格
天盤干 | 天蓬九星 | 九宮 |
庚 | -- | -- |
地盤干 | 八門 | 八神 |
甲(旬首) | -- | -- |
▼飛宮格
天盤干 | 天蓬九星 | 九宮 |
甲(旬首) | -- | -- |
地盤干 | 八門 | 八神 |
庚 | -- | -- |
▼太白入熒
天盤干 | 天蓬九星 | 九宮 |
庚 | -- | -- |
地盤干 | 八門 | 八神 |
丙 | -- | -- |
▼熒入太白
天盤干 | 天蓬九星 | 九宮 |
丙 | -- | -- |
地盤干 | 八門 | 八神 |
庚 | -- | -- |
▼奇門遁甲 他凶格局の構成図
▼伏干
天盤干 | 天蓬九星 | 九宮 |
庚 | -- | -- |
地盤干 | 八門 | 八神 |
日干 | -- | -- |
▼雲干
天盤干 | 天蓬九星 | 九宮 |
日干 | -- | -- |
地盤干 | 八門 | 八神 |
庚 | -- | -- |
▼天羅
天盤干 | 天蓬九星 | 九宮 |
癸 | -- | -- |
地盤干 | 八門 | 八神 |
年月日時干 | -- | -- |
▼地網
天盤干 | 天蓬九星 | 九宮 |
壬 | -- | -- |
地盤干 | 八門 | 八神 |
年月日時干 | -- | -- |
▼奇門遁甲 伏吟反吟の構成図
▼天地伏吟 ※天地同干
天盤干 | 天蓬九星 | 九宮 |
地盤干 | -- | -- |
地盤干 | 八門 | 八神 |
天盤干 | -- | -- |
▼八門伏吟
天盤干 | 天蓬九星 | 九宮 |
-- | -- | -- |
地盤干 | 八門 | 八神 |
-- | 定位八門 | -- |
▼九星伏吟
天盤干 | 天蓬九星 | 九宮 |
-- | 定位九星 | -- |
地盤干 | 八門 | 八神 |
-- | -- | -- |
▼星門伏吟
天盤干 | 天蓬九星 | 九宮 |
-- | 定位九星 | -- |
地盤干 | 八門 | 八神 |
-- | 定位八門 | -- |
▼天地反吟 ※戊 辛の対
天盤干 | 天蓬九星 | 九宮 |
戊 辛 | -- | -- |
地盤干 | 八門 | 八神 |
辛 戊 | -- | -- |
▼天地反吟 ※己 壬の対
天盤干 | 天蓬九星 | 九宮 |
己 壬 | -- | -- |
地盤干 | 八門 | 八神 |
壬 己 | -- | -- |
▼天地反吟 ※庚 癸の対
天盤干 | 天蓬九星 | 九宮 |
庚 癸 | -- | -- |
地盤干 | 八門 | 八神 |
癸 庚 | -- | -- |
▼八門反吟
天盤干 | 天蓬九星 | 九宮 |
-- | -- | -- |
地盤干 | 八門 | 八神 |
-- | 定位対八門 | -- |
▼九星反吟
天盤干 | 天蓬九星 | 九宮 |
-- | 定位対九星 | -- |
地盤干 | 八門 | 八神 |
-- | -- | -- |
▼奇門遁甲 補足凶格の構成図
▼門迫(八門受制格) ※各門
巽宮 四位 | 離宮 九位 | 坤宮 二位 |
-- | 休門 | -- |
震宮 三位 | 中宮 五位 | 兌宮 七位 |
開門 | -- | 景門 |
艮宮 八位 | 坎宮 一位 | 乾宮 六位 |
-- | 生門 | -- |
▼三奇入墓 ※各天盤干
巽宮 四位 | 離宮 九位 | 坤宮 二位 |
-- | -- | 乙 |
震宮 三位 | 中宮 五位 | 兌宮 七位 |
-- | -- | -- |
艮宮 八位 | 坎宮 一位 | 乾宮 六位 |
丁 | -- | 乙 丙 |
▼六儀撃刑 ※各天盤干
巽宮 四位 | 離宮 九位 | 坤宮 二位 |
壬 癸 | 辛 | 己 |
震宮 三位 | 中宮 五位 | 兌宮 七位 |
戊 | -- | -- |
艮宮 八位 | 坎宮 一位 | 乾宮 六位 |
庚 | -- | -- |
▼五不遇時 ※日干と時干支
日干 | 甲 | 乙 | 丙 | 丁 |
時干支 | 庚午 | 辛巳 | 壬辰 | 癸卯 |
日干 | 戊 | 己 | 庚 | 辛 |
時干支 | 甲寅 | 乙丑 | 丙子 | 丁酉 |
日干 | 壬 | 癸 |
時干支 | 戊申 | 己未 |
■奇門遁甲の凶格局の補足
上記のように、奇門遁甲の凶格局の基本は、天盤干と地盤干の組合せになります。
凶意を持つ天盤干と地盤干が組み合わさる時に凶意が増すというのが背景にあります。
特に主凶格の4つは凶意が増すために避けることが大事であり、「庚」が絡む凶格は大凶格として扱うこともあるため要注意になる格局になります。
逆にその他伏吟反吟系の格局や補足になるような格局は、その方位が吉意方位になる際には、それほど気にしなくても問題はありません。
吉意が強くなる方位に伏吟反吟や補足になるような格局が同在しても、吉方位として活用できることになります。
これまでの格局の解説などを総合すると、奇門遁甲の方位の吉凶を判断する際には、庚儀が同宮している際には凶方位になるというのが基本として考えても良いでしょう。
吉方位になる場合には、伏吟反吟系や補足系の凶格局は考慮せずに活用できるという考えで問題ありません。
また、凶格局の構成図を見ると、理に適う格局の構成条件もあれば、疑問が残る構成条件もあります。
これらは、これまでの奇門遁甲の継承の歴史の中で、間違って伝えられたものや、流派間の違いが混在してしまい、合理性に欠くものになっていることが考えられます。
四柱推命などの理論と併せて合理的な格局もあれば、矛盾を生じる格局などもあるため、格局を論じる際には十分な注意が必要でもあります。
しかし、どの流派においても理論的にも合理的な格局となる主流の格局や庚系の格局は、凶意を持つという判断で問題ないでしょう。
その様な方位を避け、吉方位を積極的に活用するのが奇門遁甲の基本の活用法になります。
流派による違いなどもありますが、それぞれの流派の考え方を考慮して方位の吉凶を判断することが大事になります。