■奇門遁甲の八門
奇門遁甲の遁甲盤を構成する要素に八門があります。 ここでの奇門遁甲では、この八門を天地干の三奇六儀と併せて重要視しています。 奇門遁甲が生まれた当時の古代中国では、現代で言うところの奇門遁甲を純粋に「遁甲」と呼んでいました。 その後の遁甲は「八門遁甲」と呼ばれ、八門が重視されていた奇門遁甲になります。 近代~現代になり、奇門遁甲と呼ばれ、三奇六儀と八門が重視される遁甲に至るのが流れになります。
この八門は「休門」「生門」「傷門」「杜門」「景門」「死門」「驚門」「開門」からなります。 基準となる土地の中心から、8方位にそれぞれ門があると仮定し、それぞれの方位にどのような気が巡るのかを表すものになります。 立向盤では、自分から出ていく先にどのような光景が広がるのかを表し、座山盤ではどのような気が訪れるのかを表すものになります。 自分が出向く際のその方位に巡る土地に広がる光景になるのが立向盤の考え方であり、訪れてきた人が門を開いてから見える光景になるのが座山盤の考え方になります。
この八門には定位があり、その定位に合わせて旺相などが存在しています。 定位八門の後天五行が八門の五行になり、それに合わせて季節や時刻、方位により旺相などを考慮します。 この旺相を重視する流派などもありますが、実際には参考として考える程度になります。 大事なのは八門の象意の吉凶の部分であり、旺相はその象意の後押しになるという流れで考慮していきます。
奇門遁甲の八門

八門 | 吉凶 | 定位 | 五行 | 旺相 | 方位 |
休門 | 吉 | 坎宮 | 水行 | 水月 亥子 | 北 |
生門 | 吉 | 艮宮 | 土行 | 土月 四季 | 北東 |
傷門 | 凶 | 震宮 | 木行 | 木月 寅卯 | 東 |
杜門 | 凶 | 巽宮 | 木行 | 木月 寅卯 | 南東 |
景門 | 平 | 離宮 | 火行 | 火月 巳午 | 南 |
死門 | 凶 | 坤宮 | 土行 | 土月 四季 | 南西 |
驚門 | 凶 | 兌宮 | 金行 | 金月 申酉 | 西 |
開門 | 吉 | 乾宮 | 金行 | 金月 申酉 | 北西 |
■奇門遁甲の八門の象意と吉凶
奇門遁甲における八門には、三吉門と四凶門、一平(吉凶半々)門に分けることができます。 三吉門とは「休門 生門 開門」の三門になり、四凶門とは「傷門 杜門 死門 驚門」の四門となり、一平門とは「景門」になります。 三吉門は吉象意が有り、四凶門には凶象意があり、一平門には吉凶半々の象意が有ります。 基本はどの流派でもこのように八門を考慮していきますが、流派により用途などにより吉凶を分ける概念などもあります。 慣れるまでは、「三吉門 四凶門 一平門」として、方位の吉凶の判断をしていければ良いでしょう。
古代の奇門遁甲では、八門遁甲と呼ばれていた重要な要素でもあるため、八門の基本的な象意は把握しておきましょう。 立向盤では、その方位の土地に向かうことでどのような光景が広がるのか、どのような出来事が起こるのかを意識することが大事になります。 座山盤では、その土地に対して各方位からどのような知らせが届くのか、どのような出来事が訪れてくるのかを意識することが大事になります。
奇門遁甲の八門の象意と吉凶

八門 | 内容 |
三吉門 | 休門 生門 開門 |
四凶門 | 傷門 杜門 死門 驚門 |
一平門 | 景門 |
■奇門遁甲の八門三吉門の象意
「休門」は、三吉門の一つであり、吉象意を持つ八門になります。 「休」の意として、「何かを止めること 体を休めること 安らかであること 大きいこと めでたいこと」などがあります。 休門の考え方としては、現代の祝日などのように、何か大きなめでたい出来事があるため、ゆっくり休んでお祝いをするというような象意になります。 慶事のために休むことや、慶事が訪れるというような象意を持ち、喜びごとがありゆっくり休むというような出来事が訪れるというような意味合いで考えます。
「生門」も、三吉門の一つであり、吉象意を持つ八門になります。 「生」の意として、「混じり気がない 純粋なもの 生きていること 生命やものを生み出すこと 作り出すこと」などがあります。 生門の考え方としては、生命の尊さを時間出来ることや、純粋な思いに浸れること、大事なものを作り出すことや生み出すというような象意になります。 生きていることの喜びや、人生における出来事に対して純粋に感動できること、壮大なものを生み出すことや作り出せるというような意味合いで考えます。
「開門」も、三吉門の一つであり、吉象意を持つ八門になります。 「開」の意として、「閉じていたものが開くこと 自由な状況になること 努力が報われる事 花が咲くこと 何かが始まること」などがあります。 開門の考え方としては、これまでの努力が報われて道が開かれることや、自由な状況になること、人生の中での大きな事が動き出すというような象意になります。 道が開かれて将来への可能性が広がることや、成功や発展への事が始まること、望む状況に向けての力強い後押しを得るというような意味合いで考えます。
奇門遁甲の八門三吉門の象意

八門 | 象意 |
休門 | 慶事が訪れる 周囲と喜びを分かち合う ゆっくり休んで喜べる 大きな出来事が起こる |
生門 | 純粋な思いに浸れる 大きなものを生み出す 生命の尊さを実感する 幸せが訪れる |
開門 | 努力が報われる 成功や発展への道が開かれる 自由を得て可能性が広がる 大事が始まる |
■奇門遁甲の八門四凶門の象意
「傷門」は、四凶門の一つであり、凶象意を持つ八門になります。 「傷」の意として、「怪我をすること 身体などを損なうこと 物が壊れること 心を痛めること 苦しい思いをすること」などがあります。 傷門の考え方としては、怪我をして身体を損なうことや辛く苦しい思いをすること、大事なものを失い喪失感に悩まされるというような象意になります。 事件や事故に見舞われて、心身ともに傷を負うことや、大事にしていたものを失うこと、大きな損害を被るような出来事に遭うというような意味合いで考えます。
「杜門」は、四凶門の一つであり、凶象意を持つ八門になります。 「杜」の意として、「木が沢山生い茂る場所 神社などに育成する樹木 バラ科の落葉高木のヤマナシ 木の根」などがあります。 杜門の考え方としては、状況が不明瞭になり道に迷うような状況になること、樹海で方向感覚を失いさまようこと、暗い環境に陥るというような象意になります。 閉塞的な状況に陥ってしまい、どのように判断して良いのか分からなくなることや、冷静な判断ができずに人に騙され、人生が暗転するというような意味合いで考えます。
「死門」は、四凶門の一つであり、凶象意を持つ八門になります。 「死」の意として、「命がなくなること 生気が失われ動きがなくなること 物事が喪失すること 生死にかかわる危険」などがあります。 死門の考え方としては、物事の状況が停止されること、一連の流れに終止符が打たれてしまうこと、望まぬ結末に至るというような象意になります。 これまで続けていたもの毎に終止符が打たれることや、自分を含めた身近な人の人生が終わること、人を埋葬することや葬儀との縁ができるというような意味合いで考えます。
「驚門」は、四凶門の一つであり、凶象意を持つ八門になります。 「驚」の意として、「意外な出来事に遭遇して緊張する 予想しない状況に精神面が不安定になる 予測できない状況になる」などがあります。 驚門の考え方としては、予想もしないような出来事に遭遇して精神状況が不安定になること、緊張感がつよくなるというような象意になります。 予測できない状況に陥ってしまうことや、精神面での安定や平穏を失うこと、緊張するような状況が続いてしまうというような意味合いで考えます。
奇門遁甲の八門四凶門の象意

八門 | 象意 |
傷門 | けがなどをして身体を損なう 大事なものを失う 心を痛めて辛いく苦しい思いをする |
杜門 | 閉鎖的な状況に陥る 方向性を失い迷走する 冷静さを欠き判断を誤る 人に騙される |
死門 | 状況に終止符が打たれる 望まつ結末に至る 周囲の人の死や葬儀に関係する 凶事が訪れる |
驚門 | 予測できない事態に陥る 緊張が絶えない状況が続く 精神面での安定性を欠く |
■奇門遁甲の八門一平門の象意
「景門」は、一平門の一つであり、吉凶半々の象意を持つ八門になります。 「景」の意として、「地上や周囲を見渡すこと 陽に照らされる全てのもの 輝きや華麗さ 周囲からの注目」などがあります。 景門の考え方としては、多くの人から見られること、輝きや華麗さを表し注目される事 人が集まり騒がしくなるというような象意になります。 人が集まり騒がしくなることで、商売などには良くても、静かに暮らしたい人には向かないことになります。 また、人から見られたくない、注目されたくない人にとっても、良い意味でも悪い意味でも注目を集めてしまうことになります。
大型商店施設が誘致されることで、町全体としての活気は溢れかえることになりますが、そこに住む人にとっては治安の悪化や交通渋滞、不法投棄などの問題が増えることになります。 騒音に悩まされることや、地価が上がり税金や物価が高くなること、大気汚染に悩むというような弊害が生じます。 人からの注目を集めるという意味でも、人気商売的な部分では吉意がありますが、私生活の全てが表に出てしまうことや、個人の空間が失われるという弊害が生じます。 景門に関しては、上手く活用できれば非常に心強く、発展や成功につなげることもできますが、間違えると災難ばかりを引き寄せてしまうことにもなります。
奇門遁甲の八門一平門の象意

八門 | 象意 |
景門 | 多くの人が集まり多くの人に見られる 周囲からの注目を浴びる 輝きや華麗さを得る |
■奇門遁甲八門の定位と卦位
奇門遁甲における八門の基本は、上記で説明しましたが、配置される宮により八門の象意が強まること、弱まることなどがあります。 また、遁甲盤を作成する季節により、八門の象意が強まることや、弱まることなどもあります。 実際の二十四節気により、八門の意味に強弱を考慮し、吉意はより吉意を増し、凶意はより凶意を増すという考え方になります。 吉意が失われて吉意が少なくなること、凶意が軽減されて凶意が少なくなることなどもあります。
このような八門と月令、二十四節気、卦位などにより吉凶なども少し変化をすることになりますが、基本の象意である三吉門と四凶門、一平門の考え方は変わりません。 どのような条件でも、吉門が凶門に変わることはなく、凶門は吉門に変わることはありません。 使用の用途に寄って、吉意を発揮できないこと、凶意も問題を起こさないことなどを調整することはできます。
奇門遁甲八門の定位と卦位

杜門 | 景門 | 死門 |
傷門 | 驚門 | |
生門 | 休門 | 開門 |
開門 | 休門 | 生門 |
驚門 | 傷門 | |
死門 | 景門 | 杜門 |