■奇門遁甲の時間の概念について
中国の占術に限らず、占いで時間を考慮する際には、自然時間で考慮していくことが必要になります。 自然時間とはその場所を基準にして、その場所から見た太陽の位置で計算した時間になります。 日本の標準時は、兵庫県明石市(東経135度)の自然時を基準にしています。 そのため、経度が1度離れる毎に4分の修正が必要になるのが自然時になります。
兵庫県明石市よりも東においては、経度1度ごとに4分加算する必要があり、兵庫県明石市よりも西においては、経度1度ごとに4分減算する必要があります。 例えば、東京都庁の経度139.69は、日本標準時の起点東経135度より、東に4.69度離れています。 1度離れる毎に4分の時差が生じるため、「4.69 x 4」で18.76分の時差が生じます。 東京の自然時が「+18分~+19分」とされるのはこのためであり、西東京では概ね18分台であり、東東京では概ね19分台となります。 東京都千代田区が東経139.75となり、時差19分目安になります。
鹿児島市役所の経度は130.55となり、日本標準時の起点統計135度より、西に4.45度離れています。 1度離れる毎に4分の時差が生じるため、「4.45 x 4」で17.8分の時差が生じます。 兵庫県明石市より西では日本標準時から減算し、時差-18分(四捨五入)といった計算になります。
世界の標準になる時間は、経度0度にあるグリニッジ天文台を基準にしたグリニッジ標準時になります。 そこから360度を24時間とし、東経180度を12時間後、西経180度を12時間前として計算していきます。 このため、「1度=4分」「15度=1時間」となり、東経135度は、グリニッジ標準時では+9時間となります。
奇門遁甲では、この自然時での判断が必要になるため、起点となる土地の自然時を把握しておくことが非常に大事になります。 特に時盤を活用する際には、この自然時が見落とせない重要な要素になります。 また、奇門遁甲での時刻は十二支による時刻になり、一刻二時間になります。 この時刻の切り替わるあたりは、自然時などの概念もあり、気が混沌とするため、使用は避けるというのが基本になります。
奇門遁甲の時間の概念
■奇門遁甲の年月日の概念について
奇門遁甲での時間の概念は自然時であると説明してきましたが、ここでは年月日の概念について解説していきます。 中国占術では、年の始まりは概ね節分~立春が境になります。 今の暦で言うところの、大晦日が節分になり、立春が元旦になるという感じになります。 立春は、太陽黄経が315度になる日となり、概ね2月4日前後になります。 一年はこの日を起点に変わるため、通常使用している暦とは違うために注意が必要になります。 特に年盤を考慮する際には、この年の変わり目を把握しておかないと大変なことになります。
同じく、中国占術での月の概念は節月となる事が非常に多くなります。 節月とは、節入り日から、次の節入り日の前日までの期間を一月とします。 節入り日とは、太陽黄経が15度(清明)から30度ずつ進む日にあたります。 立春から始まる二十四節気の奇数になる節気が節入り日となります。 西洋占星術などの星座の概念は、二十四節気の中気を起点にしているため、二十四節気の偶数になる節気で星座が変わることになります。
日の概念は流派により変わるため、考え方には注意が必要になります。 この場では、実際の日の切り替わりとなる0時-24時で日が変わるとして作成しています。 流派により、子の刻にあたる23時を日の切り替えとするものもあります。 0時(24時)で日付が変わると、その日に子の刻が2つ存在し、初めの子の刻と後の子の刻に別れることになります。 構成上(流派上)は、0時(24時)での日付の変更を採用していますが、流派で異なるこの時間帯23時~24時(0時)は気が混沌とするため、使用には適さないとするのが基本になります。 四柱推命などでも、この時間帯に生まれた人の気は混沌とすることが多く、二面性を持つことや安定しない意を含むことが多くなります。
このように、奇門遁甲を考慮する際には、普段使用する年月日時の概念だけではなく、「立春 節月 23時~0時 自然時」などの要素を考慮して考える必要があります。 この場で考慮している「年盤 月盤 日盤 時盤」の奇門遁甲では、この概念が非常に重要になるため、作盤時や使用時には、時間と盤とを慎重に考慮するようにしてください。
奇門遁甲の年月日の概念
年月日時 | 切替り |
年 | 立春(太陽黄経315度)になる日を基準に年が変わる |
月 | 節入り日(二十四節気の奇数)になる日を基準に月が替わる |
日 | 0時(24時)を基準に日が変わる 自然時を考慮する |
時 | 十二支による一刻(2時間)で時間が変わる 自然時を考慮する |
■奇門遁甲の方位の概念について
奇門遁甲の方位の基準となるのは「磁北を0度」とするところになります。 流派により、真北や北極星を起点にするなど、色々とありますが、この場(流派)では「磁北を0度」とする前提で話を進めて行きます。 古代の奇門遁甲では、磁北が0度というような詳細な考え方ではなく、太陽が高くなる方が南であり、その反対が北になるという感覚になります。
奇門遁甲の起源とされる伝説上の黄帝は、蚩尤との戦いの際に指南車と奇門遁甲を使用して勝利したとされています。 これ以外でも中国の占術や暦法などは太陽の運行と共に研究したものが多く、太陽が高く昇る方位である南を起点にしているものが多くなります。 そのため、奇門遁甲の遁甲盤では、上が南になり下が北になります。左が東になり、道が西になります。 中国の占術では、この上が南になる方位が基本になり、どの占術でも同じように解釈していくことになります。
この上が南になる方位の概念は、普段使用している地図と正反対になるため、慣れるまでは注意が必要になります。 方位を間違えて奇門遁甲を使用すると大変なことになるため、慣れるまでは慎重に考慮していきましょう。 基本的な考え方は、地図とは「正反対 180度逆転」という感じで考えるようにしてください。
奇門遁甲の遁甲盤では、基本となる盤は「洛書 九数図」になり、中宮は起点となる土地になり、その他八方位は360度を8等分した各45度になります。 十二支の方位ではなく、「洛書 九数図」の方位になるため、八方位各45度が基準になります。 上が南(180度)であり、左右22.5度(計45度)157.5度~202.5度の範囲になります。 下が北(0度)であり、左右22.5度(計45度)337.5度~22.5度の範囲になります。
時間の概念でも解説したように、年月日時などの「時間」の切り替わりにあたる時間帯は気が混沌とするため使用には注意が必要になるのと同様に、方位の境目も注意が必要になります。 奇門遁甲では、方位の境目の気はやはり混沌とし、両方の方位の気を持つことになるとされます。 そのため、方位の境目は使用せず、中心よりの方位を使用するのが大事になります。 また、使用する方位の中心に近いほど、その地の気を得やすいというのが奇門遁甲の方位の概念で大事なことになります。
奇門遁甲の方位の概念
135 四 南東 木行 | 180 九 南 火行 | 225 二 南西 土行 |
90 三 東 木行 | -- 五 中央 土行 | 270 七 西 金行 |
45 八 北東 土行 | 0 一 北 水行 | 315 六 北西 金行 |
方位 | 度数(磁北基準) |
北 | 0度 337.5~22.5度 |
北東 | 45度 22.5~67.5度 |
東 | 90度 67.5~112.5度 |
南東 | 135度 112.5~157.5度 |
南 | 180度 157.5~202.5度 |
南西 | 225度 202.5~247.5度 |
西 | 270度 247.5~292.5度 |
北西 | 315度 292.5~337.5度 |
■奇門遁甲の各要素の定位
奇門遁甲の遁甲盤は、洛書九数図を元に作成されていきます。 その際に遁甲盤に使用する各要素「天地干 八門 天蓬九星 八神 九宮」には定位が存在します。 その定位を元にして、作盤していくため、定位を理解しておくことが作盤する際には重要になります。 奇門遁甲の作盤法は非常に複雑になりますが、基本はこの定位を元に各要素を動かしていくことになるため定位を把握しておくと作盤が非常にしやすくなります。
各要素の定位だけではなく、遁甲盤の方位の概念や、二十四節気の定位なども理解しておくことが大事になります。 奇門遁甲の各要素「天地干 八門 天蓬九星 八神 九宮」は、特定の宮に在位した際に意味合いが強まることや弱まることがあります。 この背景には二十四節気の定位や、方位の要素、後天八卦の要素などがあります。 各要素と方位の相性という感じで考えておくと、遁甲盤の作盤時に吉凶の判断がしやすくなります。
奇門遁甲の各要素の定位
辛 | 乙 | 己 |
庚 | 壬 | 丁 |
丙 | 戊 | 癸 |
丁 | 己 | 乙 |
丙 | 癸 | 辛 |
庚 | 戊 | 壬 |
杜門 | 景門 | 死門 |
傷門 | 驚門 | |
生門 | 休門 | 開門 |
天輔星 | 天英星 | 天芮星 |
天冲星 | 天禽星 | 天柱星 |
天任星 | 天蓬星 | 天心星 |
太陰 | 六合 | 勾陳 |
騰蛇 | 朱雀 | |
直符 | 九天 | 九地 |
六合 | 太陰 | 騰蛇 |
勾陳(白虎) | 直符 | |
朱雀(玄武) | 九地 | 九天 |
四緑 | 九紫 | 二黒 |
三碧 | 五黄 | 七赤 |
八白 | 一白 | 六白 |
立夏 小満 芒種 | 夏至 小暑 大暑 | 立秋 処暑 白露 |
春分 清明 穀雨 | 秋分 寒露 霜降 | |
立春 雨水 啓蟄 | 冬至 小寒 大寒 | 立冬 小雪 大雪 |
巽位 | 離位 | 坤位 |
震位 | 兌位 | |
艮位 | 坎位 | 乾位 |