■奇門遁甲の流派の違い
奇門遁甲には実に多くの流派が存在しています。 古代中国を発祥する占術の多くは、様々な流派によって継承されていますが、この奇門遁甲ほど流派が多い占術もありません。 同じ流派を継承している奇門遁甲でも、使用者の考え方や実体験、解釈などでまた一味違う奇門遁甲となります。 その奇門遁甲が継承されていくことにより、また一つの流派が生まれるといったことを繰り返して現代に継承されています。
元々黄帝が蚩尤との戦いの中で、天帝から授かったとされる当初の遁甲は、1080局から構成されていたとされます。 その後の周の時代に、呂尚が72局に体系化し、更に後の前漢の時代に、張良が18局に体系化したとされています。 現代の奇門遁甲の基本は、この18局(陰陽各9局)を継承しており、この局に関してはどの流派でも同じ考えになっています。 もしかしたら、現代でも72局や1080局を採用している流派が残っているかもしれません。
これら歴史上の名軍師達の手により体系化されてきたように、その後の奇門遁甲の歴史の中で、様々な考え方や活用法が加えられ、現代の奇門遁甲に至ります。 流派の違いに関しては、立局法の違い、立向座山の概念の違い、年月日時盤の考慮の違い、作盤法の違い、格局の考え方の違い、活用法の違い、造作法の違いなどがあります。 また、一部では8方位の度数の違いや、盤自体の方位の違い、象意の解釈の違いなどもあります。 奇門遁甲という括りの中でも、実に様々な考え方があり、どの流派の奇門遁甲が正しいのかというような議論も多く存在します。
奇門遁甲の流派
実際にどの流派の奇門遁甲が正しいのか、という事に関しては正しい答えそのものが存在しないと考える方が良いでしょう。 それぞれの流派が継承している奇門遁甲は、それぞれ正しい奇門遁甲であり、流派の違う奇門遁甲は別物として考える方が理解しやすくなります。 古代中国を発祥とする中国占術では、流派間の争いなどが絶えませんが、それぞれの流派の占術が正しいものであり、流派が違うと別の占術であると考えるようにすると受け入れやすくなります。 それぞれの流派の考え方や長所を取り入れ、より占術の精度を高めていくという方が、現実的な活用法であり、本来の意味での占術の持つ潜在能力を大いに発揮することができるでしょう。
奇門遁甲の流派の違いも同じように考え、それぞれの流派の奇門遁甲が正しく、また、正しいからこそ、現代まで継承されていると考えることができます。 奇門遁甲は古代の中国では兵法として使用されていたため、実績が無いことには戦で敗れ、奇門遁甲の効果にも疑問が生じ、歴史の中で消えて行ったことでしょう。 また、その後の開運術として活用されるようになってからの時代でも、効果が無いとされれば、やはり歴史の中に消えて行くことになります。 実際に多くの遁甲家により検証され、効果があるとされ信憑性が生まれることで、現代にまで継承されていると考えるのが自然の事になります。 それぞれの流派で考え方などが変わりますが、そのどれもが検証され効果が認められたことで現代に至るという背景を忘れないようにしてください。 大事なのは、それぞれの奇門遁甲の流派で、実際に効果が得られるとされる使用法に合わせて、奇門遁甲を活用していくという事になります。
一つの流派の奇門遁甲にこだわる必要もないため、目的や内容によって、違う流派の奇門遁甲を併用するというのも問題はありません。 また、色々な流派の良いところと併せてみることや、他流派の造作法などを試してみることなどで、新たな発見があるというのも奇門遁甲の醍醐味でもあります。 奇門遁甲は使用する人それぞれが、独自の流派を持つという考え方もありますので、自分独自の解釈や活用法などを検証してみると良いでしょう。 奇門遁甲を使用して効果が感じられないと思う際には、使用している奇門遁甲の流派の立局法や作盤法、活用法などを見直してみることが大事になります。 本当に目的に見合っているのか、奇門遁甲を活用する以前に環境や本人の状態などを確認することも大事になります。
奇門遁甲の流派の違い
盤 | 流派間の違い |
局数 | 現代では陽局陰局の各9局 計18局が主流 |
立局法 | 1年1局法や20年1局法 1日1局法や20日1局法がある |
立向座山 | 立向盤と座山盤を別にする流派 立向座山を別にしない流派などがある |
年月日時 | 年月日時各盤を使用する流派 時盤のみを使用する流派などがある |
作盤法 | 各要素の配置の仕方が違う 例外時の対応や優先する要素が異なる |
格局 | 格局を構成する条件が流派によって異なる 微妙なところで差がある |
活用法 | 格局を主にして活用する流派 格局を考慮せずに活用する流派がある |
造作法 | 流派により造作の仕方が異なる 埋めるものや対応が異なる |
八方位 | 8方位各45度が基本 気学と同様に30度60度で考える流派もある |
盤の天地 | 上(天)が南 下(地)が北とするのが基本 逆にする流派もある |
読み方 | 細かいところで用語の読み方が違う |
遁甲家 | 奇門遁甲を使用する人によりそれぞれの手法や応用法がある |
■奇門遁甲の流派の考え方
上記のように、奇門遁甲を勉強する際や実際に使用するとなる場合には、流派の問題で悩むこともあります。 どの流派の奇門遁甲が良いのかを悩んだ際には、まず身近で学びやすい環境の流派から学び始めると良いでしょう。 奇門遁甲の流派の考え方で大事になるのは、基本的な要素や考え方などに関しては、概ね共通しているため、どの流派の奇門遁甲でも一通り学ぶことが大事になります。 どの流派の奇門遁甲でも良いので、一通り学ぶことができれば、他の流派の奇門遁甲を学ぶのはそれほど難しくはありません。 奇門遁甲自体は非常に複雑で難しい占術ですが、基本的な知識や背景を知らないことには、流派の考え方などを理解することができなくなってしまいます。 奇門遁甲を本当の意味で活用し、開運効果を検証するためには、色々な流派の奇門遁甲を知ることも大事になります。 まずはどの流派の奇門遁甲でも良いので、一通り学ぶことや実際に経験してみること、開運効果を体験してみることなどをお勧めしています。
また、古代中国を発祥としている占術の多くは、陰陽思想や五行思想、干支暦や易経などを背景に持つため、共通する要素や用語も多くなります。 奇門遁甲だけを学ぼうとすると、これらの思想的背景や基本事項も同時に学ぶ必要などがあるため、最初の敷居が高く感じてしまうこともあるでしょう。 ここでの奇門遁甲は、風水術の一連の流れにおいて使用する開運法であり、八字命術(四柱推命)、陽宅風水陰宅風水、易経と共に活用することが大事でもあります。 奇門遁甲への理解をより深め、開運法の効果を最大限に活用していくためには、この八字命術(四柱推命)や陽宅風水陰宅風水も共に学ぶようにすると良いでしょう。 流派によっては、奇門遁甲のみを教えることはせず、これらの八字命術(四柱推命)や陽宅風水陰宅風水、易経と併せて教えているという流派もあります。
これら古代中国発祥の占術の多くは、個人の独学で勉強するには限界もあり、実際に鑑定を重ねた先人の指導の元に勉強を進めるのが大事になります。 一般で公開されているような情報は、基本的な事柄であり、実際の鑑定においての知識や柔軟性、より深い知識や奥義などは、口伝でのみ伝えられているというのが多く存在します。 奇門遁甲に関しても、それぞれの流派で継承されている奥義的な内容は、口伝でのみ伝えられているとされるため、実際に流派に所属し、師に学ぶことが大事になります。 とは言え、一般に公開されている情報だけでも、十分に奇門遁甲を活用することができ、開運法として使用すれば効果を実体験できることも少なくはありません。 奇門遁甲の開運法による効果を実際に体験してから、師に付いて本格的に学んでみるというのも良いでしょう。 自分自身が奇門遁甲の開運法により、どのような効果を求めるのかにより、その効果に強い流派の奇門遁甲を学ぶというのも判断するには良い基準でもあります。
占術 | 内容 |
四柱推命 | 生年月日時からその人の持つ潜在能力を推し測る |
紫微斗数 | 生年月日時からその人の持つ潜在意識と可能性を推し測る |
陽宅風水 | 人が住む建物や土地の吉凶判断と気の流れの調整をする |
陰宅風水 | 先祖の眠る墓碑や土地の吉凶判断と気の流れの調整をする |
太乙神数 | 天式とも呼ばれ社会の気の盛衰と事象を判断する |
奇門遁甲 | 地式とも呼ばれ土地の気の盛衰と事象を判断する |
六壬神課 | 人式とも呼ばれ人間の気の盛衰と事象を判断する |
周易断易 | 哲学書としての易経を背景に物事の顛末や吉凶を判断する |
※干支暦 | 十干十二支から成る六十干支を用いた暦 |